知っておこう!家の耐震性を考える時のキホンと建築基準法の落とし穴

24年は元旦から地震のニュースがあり、これから新築を検討される方に知っておいてほしい耐震性の話題を紹介。耐震等級のポイント、建築基準法から読み解く「落とし穴」についても解説します。愛知県は地震の危険性が高い地域でもあり必読の内容です。

 



まず、元旦に発生した令和6年能登半島地震における被災者の方にお見舞い申し上げます。

 

また、今回の地震は揺れだけでなく、改めて津波や液状化現象など色々と、考えさせられる出来事でもありました。

 

本記事では、地震に対する備えとして、地震に関する基本的なポイントと、何を見て「耐震性の高い家」と判断するのか?をお伝えしていきます。

 

それでは、まず当記事の要点から見ていきましょう。

 

 


・地震で倒壊・損傷する多くのケースは、揺れに耐えきれず2階建ての1階部分が倒壊する

・地震で倒壊しないために、もっとも重要な要素は「接合部」の強度や、面で支える力

・耐震等級という3段階のグレードがあるものの、基準となっている建築基準法が実は「甘い」

・新築を検討する場合、愛知県は南海トラフ地震の起きる可能背があるため、耐震等級3をおすすめ



1. 地震で家が倒壊・損傷するメカニズム


 

まずは地震で家がどのように倒壊や損傷に至るのか?という内容から見ていきましょう。

 

一般的に、横揺れが発生した場合、家に対して水平方向にエネルギーがかかります。

 

日本の木造家屋の約7割以上を占める在来軸組工法の場合、柱と梁(水平方向に入っている構造部材)と言った「線」で構成されているが故に、線の「接合部」に力が加わります。



出典:パナソニック

 

地震で大きな力がかかると、柱や壁が途中で折れたりする可能性は低く、基礎土台と柱の接合部、もしくは柱と梁の接合部が壊れて、倒れ込むように倒壊・損傷に至ります。

 

直下型の縦揺れの場合、異なった倒壊の仕方をすることも中にはありますが、被災地の状況からどこの地震でもこのような被害が多いです。

 

 

1-1.地震で亡くなる原因は建物の倒壊が多い

出典:図録▽東日本大震災の男女・年齢別死者数

 

過去の大災害によって異なるものの、津波を除くと地震による被害の多くは建物が崩壊したことが原因となっていることが多いです。

 

熊本地震でも阪神淡路大震災と同様、建物が倒壊してきたことによる被害が多くありました。

 

このように、まずは大きな地震の際に建物が倒壊しないこと、そして住み続けられる住宅でないといけません。

 

 

1-2.倒壊しないためには接合部の強度アップ

まず家としての基本構造を考えた時に、この接合部の強度がしっかりした構造になっていること、そして線だけでなく面で支える構造を併用していることも重要です。

 

まず、昨今の新築では「金物工法」と言われる在来軸組が主流ですが、この金物とはまさに接合部に金属の部品を使って、木材同士をしっかり固定する方法です。

 

この金物工法が普及してきた2000年以降の建物については、倒壊する数がかなり減ってきており一定の効果があります。

 

また、接合部だけではなく、床面も耐震に効果のある剛床を採用することで、水平面の力も受け止めることができます。

 

これらを複合的に組み合わせることで耐震性アップを図ることができます。



 1-3.地震は繰り返しくる

 

大きな地震では数多くの余震が発生します。

 

昨今の能登半島地震でも震源地近くでは、無数の余震が起こっていました。

 

この余震でも家が倒壊・損傷するケースがあり、最初の大きな地震で倒壊しなかったらOKというわけでもありません。

 

構造躯体に対してダメージが蓄積してしまうため、地震のエネルギーを上手く逃がすために制震ダンパー等を併用するとよいと言われています。

 

ここでよくある勘違いとしては、制震ダンパーが付いていることで家が揺れなくなるわけではありません。

 

制震ダンパーは、地震や日々の細かい振動のエネルギーを吸収しやすく、躯体に伝わるダメージを少なくすることを目的としているため、制震ダンパーが付いていても家は揺れます。

 

もっとも制震ダンパーは2階建ての1階に設置しますが、2階部分の揺れは若干抑えられるかも知れませんが、本来の目的はそこではないと覚えておきましょう。



2. 耐震等級と建築基準法の落とし穴


 

ここまでは、家が地震によってダメージを受けるメカニズムと対策を探ってきましたが、皆さんが住宅会社を選ぶときに何を物差しとして選んだらいいのか?について解説をします。

 

まず答えは「耐震等級3の住宅を選ぶこと」です。

 

2-1.耐震等級とは

 

耐震等級とは、住宅の性能をランク付けするものの1つで、正確には「住宅性能表示制度」という基準に基づいて評価されます。

 

その中で、耐震等級は3つのランクがあり、等級3が一番耐震性が高いとされています。



等級1:建築基準法と同等の耐震性能

 

等級2:建築基準法の1.25倍の耐力がある

 

等級3:建築基準法の1.5倍の耐力がある



このようになっており、耐震等級が現在では等級3が一番耐震性に優れている建物の基準となります。

 

ちなみに耐震等級を上げていくと、壁や柱が増えていくため、当然自由な間取りプランにも影響が出てきます。

 

住めなくなってしまっては元も子もありませんが、希望するプランも大事…と悩まれる方も多いですが、できるだけ耐震等級3のプランをおすすめします。



2-1.基準となる建築基準法が甘い

 

ここで、そもそも耐震等級1となっている建築基準法の耐震性とは、どういったものなのか?を解説します。

 

建築基準法では、耐震性に関わる内容を要約すると、

 

・「1回の震度6強~7の地震で倒壊しないこと」

 

・「震度5~6程度の地震で大きな損傷をしないこと」

 

付随する細かい規定はあるものの、この2つが大枠の基準になっています。

 

この内容を言い換えると、2回目の震度7クラスの地震が来れば倒壊することは想定していない、また6強クラスの地震であれば損傷することは仕方ない、となります。

 

これを聞いて、自分の家がそのレベルの耐震性でOKという方は少ないでしょう。

 

建築基準法では、「一番最初の大きな地震の際に、家が倒壊せずに避難できる事」がベースの考え方となっているので、このような表記になるわけです。

 

このように地震の後も安心して住み続けられるかどうか?については、建築基準法では考えられていないため、耐震等級の話が重要性を増してくる訳です。



3. まとめ


愛知県では特に南海トラフ地震がくる可能性がずっと言われている地域でもあります。

 

建築基準法通りに設計・施工されている、と言われると大丈夫そうな気がしますが、このような“落とし穴“があることを知った上で、耐震等級3の住宅を選ぶようにしましょう。

 

 

和光地所では、耐震等級3+制震ダンパーを標準仕様としています。

 

定額制自由設計の中で、ご要望の間取りと性能のバランスを取りながら、土地に合ったプランをご提案させていただきます。

 

気になった方は、お気軽にモデルハウスやショールームへご来場ください。