オール電化やZEH仕様にすることで、光熱費はどれぐらい変わるの?

オール電化やZEH水準といった高断熱・高省エネの仕様にすることで、

どれぐらいの違いがでるの?という疑問にお答えする内容となっています。

ZEH水準は当たり前の水準ではありますが、

2025年義務化基準との違いや、費用対効果を考えた設計を解説。

 

今回は、基本的なポイントとして、ガス併用とオール電化どっちがいいのか?

またZEHと呼ばれる高い断熱性・高い省エネ性を持った家にすることでの実際の効果といった視点を解説していきます。

高断熱とか聞くけど、どこまでやればいいの?といった疑問をお持ちの方にも参考になるような内容となっています。

それではまず今回のコラムの要点から見ていきましょう。

 

・結論的には、オール電化にした方が光熱費は抑制できる可能性が極めて高い

・電気一本で災害時にだいじょうぶ?と不安に思う方もいるかもしれませんが、ライフラインにおいて電気の普及が一番早く、オール電化でも問題ありません

・ZEHは断熱性と省エネが一定以上のレベルになっている家で、以前の基準の家に比べて電気代が2割以上削減できる

・光熱費を抑制する効果だけを考えれば、断熱材やサッシにこだわるよりも、給湯器やエアコンなどの性能をアップさせる方が電気代の抑制効果は大きい

・費用対効果を考えて導入する場合、愛知県では断熱性能は等級5~等級6にして、設備機器をグレードアップする方が効果性は高い

 

1. オール電化の方が光熱費は抑制できる


オール電化の方が光熱費は抑制できる

まず、1つ目の疑問である「オール電化 or ガス併用」の検討ポイントですが、

結論から申し 上げるとオール電化にした方が光熱費は抑制できる可能性が極めて高いです。

単純に考えると、ガス併用のライフラインにした場合、コンロ・給湯器がガスになります。

昨今は、ガス乾燥機の乾太くんも人気となっているため、乾太くんを導入するためにガスを導入される方もいるかもしれません。

しかし今回は、一般的なケースとしてコンロと給湯器でガス機器を導入したと仮定しましょう。

この2つの機器を比較すると以下のようになります。

 

  ガスの場合 オール電化の場合
キッチン加熱機器 都市ガス:約1,200円 /月 プロパンガス:約2,000円 / 月 約2,000円 / 月
給湯器 都市ガス:約3,000円 /月 プロパンガス:約6,000円 / 月 約3,000円 / 月
合計 都市ガス:約4,200円 /月 プロパンガス:約8,000円 / 月 +基本料金 約5,000円 / 月

 

機器だけの使用量を見ると、都市ガスエリアであればオール電化より安くなるケースも考えられます。

しかし、これには基本使用料金などが考慮されていないため、ガス併用住宅の場合でも電気は必ず使用することを考えると、基本料金が1本になっているオール電化の方が安くなりやすいわけです。

なお、総務省が発表している家計調査においては、2人以上の世帯における光熱費の平均額を算出しています。

そこでは電気代が約12,008円、ガス代が4,745円、その他光熱で1,267円(灯油などと想定)となっていますが、参考程度にしっておくとよいでしょう。

※出典: 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要

 

2.災害時もオール電化は問題なし


備蓄品はこれが必要(知る防災)

出典: 備蓄品はこれが必要(知る防災) - 日本気象協会

 

次にオール電化で、光熱費を全体で圧縮できるメリットとは反対に、電気一本で災害時にだいじょうぶ?と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、ここも結論から申し上げると、災害時のライフラインにおいて電気の普及が一番早く、むしろオール電化の方がメリットが高くなります

プロパンガスで機器自体が問題なく使える場合は、独立しているメリットからライフラインの影響を受けにくい側面がありますが、給湯器などは結局電気が来ていないとリモコンなど 制御機器が動かないケースもあり結局は電気が必要になります。

 

2-1. エコキュートは災害時に役立つ

4人家族で約3日分の非常用水が使用可能

出典: ダイキン工業

オール電化にした場合、給湯器はエコキュートになります。

エコキュートとは、室外機(正式にはヒートポンプと言います)と貯湯タンクを組み合わせで、安価な深夜電力を利用してお湯を沸かして1日貯めておく給湯器です。

この貯湯タンクが災害時に役立つモノになっており、熱いお湯(設定にもよりますが60~80℃)と水が370Lもしくは460Lも貯めておけるものとなっています。

そのため、 断水したとしてもタンクからお湯を直接取り出すことができたり、停電していても断水していなければ水圧で蛇口からお湯を出すことができます 。

※機種にもよりますが、ほとんどの機種で可能

※熱いお湯がそのまま出てくる機種もあり、やけどには注意

このように、光熱費の抑制だけでなく災害時の手助けにもなる給湯器となっており、オール電化であれば災害もしのぎやすくなるでしょう。

 

3. ZEH水準で削減できる光熱費は約2割程度


YKKAP・カタログ抜粋

※出典:YKKAP・カタログ抜粋

さて、光熱費の話に戻りますと、次のポイントはZEHなど高断熱仕様にした際の光熱費の抑制効果はどれぐらいなの?という話です。

これも結論から申し上げると、 2025年に義務化された基準(断熱等級4)をベースに考えると、ZEH水準までの断熱性にすることで、約2割の光熱費(ここでは冷暖房費)を削減する ことができます 。

ZEH水準とは、現在7つの等級(数字が大きいほど、性能がイイ)がある中で等級5、つまり上から3番目の性能を指します。

ZEH水準より上のグレードになってくると、約4割程度の削減まで可能となってきます。

しかし、ここでは削減する率ではなく、実際の効果を考えた時に「いくら光熱費が安くできるのか?」を考えていくと、 ZEH→最高等級まで引き上げても、その効果は年間では2万円 足らず です。

断熱性は言い換えれば保温性となりますが、 家の保温が上がることによる光熱費への影響は限定的 となっています。

 

3-1. 光熱費を抑制であれば設備機器との組み合わせを検討

エネルギー消費性能|国土交通省

エネルギー消費性能 | 国土交通省

 

光熱費を抑制する効果だけを考えれば、断熱材やサッシにこだわるよりも、給湯器やエアコンなどの性能をアップさせる方が電気代の抑制に関する費用対効果は大きい です。

上図は、家庭における年間でのエネルギー消費の中での割合を示していますが、給湯と暖房にかかるエネルギーが半分以上を占めています。

この 2つの項目(空調・給湯)に関する機器を、省エネ性の高いタイプにするだけでも、光熱費の抑制には大きく影響 します。

例えばエコキュートを標準的なグレードのタイプから、最高グレードの給湯器に変えるだけで、年間で1万円近くの光熱費を削減できる可能性があります。

例えば、エコキュートであれば年間給湯保温効率という省エネ性を示す指標がありますが、この数値が0.1上がると、年間での電気代を1,000円程度安くできるという目安があります。

標準的なタイプは3.3、最高グレードで4.0~4.2程度となっていますので、おおよそ7,000円~9,000円の削減につながります。

暖房も様々な機器の中ではエアコンがもっとも、熱交化率がいい暖房器具です。

このエアコンは、同じ帖数の機器でもグレードによって効率が異なり、1.2~1.5倍程度も電気代が異なってきます。

特にリビング等に使用するエアコンを高効率なタイプにすることで、年間にかかる電気代を 抑制しやすくなります。

なお、高効率なエアコンの選び方のコツは、通年エネルギー消費効率(APF)と呼ばれる数 値が高いモノを選ぶことで、目安としては7.0を超える機器を選びとよいでしょう。

 

3-2. 一定以上の高断熱との組み合わせが前提

一定以上の高断熱との組み合わせが前提

 

もちろん、断熱性能を向上させることで、室内の温熱環境が安定しやすく、快適な空間にな るといった違った側面のメリットもありますので、断熱性能を極めて行くことは悪いことで はありません。

また、一定以上の断熱性能がないと、最低限の温熱環境が確保しにくくなるため、余計にエ アコンなどの冷暖房をかけてしまうことにつながります。

そのため、 愛知県においてはZEH水準である断熱等級5から、HEAT20のG2グレードである 等級6ぐらいを目途に考えるとよい でしょう。

 

4.まとめ


和光ロゴ

今回はオール電化やZEH水準で、光熱費がどれくらい変わってくるのか?を解説してきまし た。

断熱性や省エネ性を向上させるには、建築費用もかかってきますので、やみくもに最高等級 を目指すのではなく、目的や効果に納得した上で導入を検討しましょう 。

単なる数値だけでなく、愛知県の気候やその費用対効果の見極めも建築では重要 になってき ます。

和光地所では、ZEH水準を標準仕様としていますが、ご希望に応じて断熱性や省エネ性の高 い仕様のご提案も可能となっています。

気になった方は、ぜひ和光地所までお気軽にご相談ください。