収納や玄関に窓は必要?最近の住宅事情から見る窓の意味とは
玄関や収納、脱衣室に窓は必要?
現代の高気密高断熱住宅における窓の考え方を解説していきます。
防犯や換気の観点から、あえて窓を減らす選択肢やFIX窓の活用法を紹介。
建築士とつくる和光地所ならではの視点で、失敗しない家づくりをお伝えします。
家づくりにおいて「ここには窓があって当たり前」という常識が変わりつつあります。
特に玄関や収納、脱衣室などの窓は、本当に必要でしょうか?
今回は、現代の住宅性能やライフスタイルの変化を踏まえ、窓の新しい役割と選び方について解説します。
これから間取りを考える方に、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
それでは、まずコラムの結論から見ていきましょう。
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・昨今の住宅は高断熱化が進んでおり、熱の出入りが最も多い「窓」をあえて減らすことで、住宅性能を高めるケースが増えている
・防犯上の懸念やプライバシーの確保から、道路面や人通りの多い場所には、極力開閉できる窓を設置しない選択をする方が増加している
・収納や脱衣室の高所用窓は、開閉チェーンやハンドルが棚や洗濯機と干渉しやすく、入居後に結局開けなくなる失敗例が多い
・花粉やPM2.5の飛散も多いため、窓開け換気に頼るのではなく、24時間換気システムによる計画的な空気の入れ替えが推奨される
・採光やデザイン性を確保したい場合は、気密性が高く防犯面でも安心な「FIX窓(はめ殺し窓)」を活用するのがおすすめ
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1. 住宅の高性能化で変わる「窓」の常識

出典:中庭と共に暮らす家
一昔前の日本の住宅では、風通しを良くするために「窓は多ければ多いほど良い」とされてきました。
しかし、現代の家づくりにおいて、その常識は大きく変化しています。
まずは、昨今の住宅事情から見る、窓を減らすメリットについて見ていきましょう。
1-1. 断熱性能を高めるために窓を絞る

現在の新築住宅において、断熱性能は重要な要素です。
住宅の中で、最も熱が逃げやすく、外気の影響を受けやすい場所はどこかご存知でしょうか。
それは壁でも屋根でもなく、「窓」です。
冬場の暖房熱の約50%以上が窓から逃げていくと言われており、窓の数を必要最小限にすることは、家の断熱性能を保つ上で理にかなっています。
そのため、居室以外の廊下やトイレ、収納スペースなどでは、あえて窓を設けないという選択が一般的になりつつあります。
特に、年間を通じて夏が酷暑化、花粉などもあり窓が開けられる時期が限られている、という気候変動の影響も少なからずあるでしょう。
1-2. 防犯とプライバシーの観点

もう一つの大きな要因は、防犯意識の高まりです。
特に道路に面している場所や、死角になりやすい裏手の窓は、空き巣の侵入経路になりかねません。
「換気のために少しだけ開けておきたい」という心理が、防犯上の隙を生んでしまうこともあります。
そのため、人が通れるサイズの窓を極力減らし、外からの視線を遮断することで、安心して暮らせる住まいを実現する方が増えています。
2. その窓、本当に開けますか?よくある失敗例
設計段階では「あった方が便利そう」と思って付けた窓が、住んでみるとあまり使われないケースが多々あります。
特に、換気を目的として設置されがちな「シューズクローク(玄関収納)」や「脱衣室」の窓における、よくある失敗例をご紹介します。
2-1. シューズクロークや収納の窓

靴のニオイや湿気がこもるのを防ぐために、シューズクロークに換気用の小窓を希望されることがあります。
しかし、収納スペースというのは、壁一面に可動棚などを設置することがほとんどです。
ここに窓があると、棚の配置が制限されてしまい、収納量が減ってしまうというデメリットが生じます。
また、高い位置に窓を付けた場合、開閉操作のためのチェーンやハンドル(オペレーター)が必要になります。
このチェーンが棚の荷物に引っ掛かったり、操作が面倒になったりして、結局「入居してから一度も開けていない」という声も少なくありません。
2-2. 脱衣室・ランドリールームの窓

脱衣室も同様に、湿気対策として窓を設けがちですが、ここにも落とし穴があります。
洗濯機の上部などに高所用窓を設置する場合、開閉用のチェーンが洗濯機のフタや、ランドリーラックと干渉してしまうケースもあります。
毎日の家事の中で、チェーンが邪魔になるのは大きなストレスになったり、窓を開けるためにわざわざ洗濯機越しに手を伸ばしたりすることも大変です。
結果として、ただの「開かずの窓」になってしまい、掃除の手間だけが増えることになりかねません。
2−3. お風呂の窓は激滅?

ここ数年で変化が顕著な部分は、お風呂(システムバス)です。
最近のお風呂は、掃除・断熱などの観点から窓をつけないプランのほうが多くなっています。

また、換気用と考えて窓を開けていると、換気扇自体がショートサーキット(※下図)を起こして、家全体の換気がうまくできないことも考えられるため、開く窓が不要になりつつあります。
このように、今まで当たり前のように考えていた常識が、少しづつ変わってきています。
3. 現代の「換気」と「採光」の最適解
では、窓を減らすと家の中が暗くなったり、空気がよどんだりするのでしょうか。
現代の住宅における、賢い「換気」と「採光」の考え方について解説します。
3-1. 換気は「窓開け」より「換気システム」で

出典:Panasonic
まず換気についてですが、現在は法律で24時間換気システムの設置が義務付けられています。
気密性の高い現代の住宅では、窓を開けて換気をするよりも、換気システムを適切に稼働させる方が、効率よく家全体の空気を入れ替えることができます。
また、春先などの花粉や黄砂、PM2.5が飛散する時期に窓を開けることは、アレルギー対策の観点からもあまりおすすめできません。
高性能フィルターを通過した空気を、室内に取り込むほうがよいでしょう。
ニオイや湿気が気になる場所こそ、窓開けに頼るのではなく、適切な換気計画によって空気を流す設計にすることが重要です。
3-2. 明かり取りにはFIX窓を活用する

出典:LIXIL
「換気はいらないけれど、自然光による明るさは欲しい」という場所には、開閉できない「FIX窓(はめ殺し窓)」がおすすめです。
FIX窓には以下のようなメリットがあります。
【FIX窓を採用するメリット】
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メリット |
解説 |
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気密・断熱性が高い |
開閉部分の隙間がないため、断熱性能や気密性能を落としにくい |
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デザイン性が高い |
枠(フレーム)がスッキリしており、外観や内観のデザインアクセントになる |
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防犯性が高い |
鍵の閉め忘れの心配がなく、物理的に開かないため侵入されにくい |
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掃除が楽 |
網戸や複雑なレールがないため、サッと拭くだけで掃除が完了する |
特に玄関や洗面所などは、型ガラス(曇りガラス)のFIX窓を高めの位置や足元に設置することで、プライバシーを守りながら柔らかな光を取り込むことができます。
窓の役割を「換気」と切り離し、「採光」と「デザイン」の一部として捉え直すことで、機能的で美しい空間が生まれます。
4. 建築士とつくる和光地所ならではの提案
ここまで、窓を減らすメリットやFIX窓の活用についてお伝えしてきました。
しかし、単に窓をなくせば良いというわけではなく、敷地条件や隣家の状況、風の通り道などを総合的に判断する必要があります。
和光地所では、営業担当ではなく「建築士」がお客様との打合せに同席し、直接プランをご提案します。
4-1. 建築士だからできる提案

一般的な住宅会社では、お客様から「ここに窓が欲しい」と言われたら、そのまま図面に反映することもあります。
しかし、和光地所の建築士は「なぜそこに窓が必要なのか?」という目的まで掘り下げて考えます。
もし目的が「明るさ」ならFIX窓を、「風通し」なら卓越風向を考慮した配置を、「開放感」なら視線の抜けを意識した窓をご提案します。
逆に、構造的な強さや断熱性能、そして住んでからの使い勝手を考慮し、「この場所には窓を設けない方が良い」というアドバイスをさせていただくこともあります。
プロとしての知識と経験に基づき、デザイン性だけでなく、長く快適に暮らせるための「意味のある窓」の設計をこころがけています。
5. まとめ

今回は、玄関や収納における窓の必要性と、現代の家づくりにおける窓の考え方について解説しました。
窓は家の外観やインテリアを大きく左右するだけでなく、断熱性能や日々の掃除の手間にも直結する重要な要素です。
「なんとなく」で窓を配置するのではなく、一つひとつの窓に意味を持たせることが、満足度の高い家づくりにつながります。
和光地所では、建築士がお客様のライフスタイルに寄り添い、デザインと性能を両立させた最適なプランをご提案いたします。