充填断熱と吹付断熱どっちがいいの?断熱材を選ぶべき理由も解説
最新の新築において、断熱性はチェックすべきポイントの1つです。
その断熱性を支える断熱材についてフォーカス。
どんな断熱材がイイの?そもそも断熱材なんて選ぶ必要があるの?
こんな疑問をお持ちの方に、断熱材ごとの特徴からおすすめまで解説。
今回は、家に使われている断熱材について解説していきます。
断熱材ってどんな種類があるの?どんな種類がいいの?
こんな疑問をお持ちの方や、そもそも断熱材なんて選ばないといけないの?と思っている方にも、わかりやすく断熱材の基礎的なポイントをお伝えします。
それでは、まずは今回のコラムの要点から見ていきましょう。
・断熱材には大きく分けて2つあり、布団のような断熱材を詰める「充填断熱」と、職人さんが泡のような断熱材を壁などに吹き付ける「吹付断熱」がある ・充填断熱は施工が容易なため、コストを抑えやすいメリットや、断熱材の種類・厚み・密度を調整できるため、希望の断熱性能へ調整しやすい ・吹付断熱は、断熱性だけでなく気密性を高めやすいメリットがある一方、専門の職人さんが作業するためコストが充填断熱より高くなりやすい ・リーズナブルな価格で、一定の性能を確保したい場合は充填断熱がおすすめな一方、気密性能などにこだわりたい方は吹付断熱がおすすめ |
1. 断熱材の種類
断熱材は建物の外気との熱の出入りを抑える材料で、住まいの快適性、省エネ性能、光熱費に大きく関わります。
種類は大きく分けて「充填断熱」と「吹付断熱」がありますが、それぞれの特徴を理解することが、後悔しない家づくりにつながります。
まずは、一覧表で簡単に2つの特徴を抑えていきましょう。
充填断熱 |
吹付断熱 |
|
特徴 |
繊維系の断熱材を柱の間に詰め込む |
発泡ウレタンを壁などに直接吹き付ける |
種類 |
グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなど |
硬質ウレタンフォームなど |
費用 |
比較的安価 |
やや高め |
施工性 |
〇 |
△(専門性が必要) |
気密性 |
〇 |
◎ |
1-1. 充填断熱の種類と主な使用用途
画像引用:旭ファイバーグラス
布団のような断熱材を構造躯体に詰めていく充填断熱には、代表的な素材として次のような素材があります。
①グラスウール
画像引用:グラスウールについてl旭ファイバーグラス
ガラス繊維で作られた断熱材。最も一般的な断熱材で、軽量な点も特徴の1つとなっており、壁(垂直面)や天井などに採用されることが多い。
②ロックウール
鉱物由来で耐火性に優れる。防音効果もあります。自重が重いため、床など水平面に使われることが多い。
③セルロースファイバー
新聞紙を再利用したエコな素材で調湿性能に優れている素材です。
主に在来工法の木造住宅で使われ、厚みや密度によって断熱性能を調整できます。
施工がしやすくコストを抑えたい場合や、反対に部分的に断熱性能を変える等、調整幅を持たせたいときに適しています。
1-2. 吹付断熱の種類
画像引用:アクアフォーム | 製品サイト | 株式会社日本アクア
つづいて、吹付断熱の解説です。
吹付断熱では、断熱材を現場で発泡させるため、壁や屋根裏などに隙間なく充填できるのが特長です。
吹付断熱は、断熱と同時に気密性能を確保できるのが最大の魅力です。
①現場発泡ウレタン(硬質ウレタンフォーム)
断熱性が高く、構造材に密着するため気密性も高い。
②アイシネンなどの水発泡型
柔軟性があり、木材の動きに追従する性能がある。
なお、吹付断熱で主流となっている①の発泡ウレタン系の断熱材には、大きく分けて2つの種類があります。
主な違いはその発砲するときの密度の違いで、「低密度タイプ」と「高密度タイプ」があり、それぞれ特徴や用途が異なります。
低密度発泡ウレタン |
高密度発泡ウレタン |
|
発泡倍率 |
100倍発泡タイプ |
30倍発泡タイプ |
熱伝導率 |
0.034 |
0.026 |
特徴 |
柔軟性があり構造体の動きに追従しやすい。吸音性にも優れる。 |
断熱・気密性に優れ、構造補強効果も期待できる。耐久性が高い。 |
主な用途 |
壁・屋根裏など広範囲の断熱に適する |
床下や外張り断熱、性能重視の部分に |
費用 |
標準的 |
高価 |
超高性能を目指すのであれば高密度タイプになってきますが、ZEHやG2グレードといった、愛知県で必要とされる性能を満たすのであれば、一般的に使われる100倍発泡でも十分でしょう。
価格とのバランスも考えて、効率的で高性能な断熱設計が可能になります。
2. 充填断熱のメリット・デメリット
出典:旭ファイバーグラス
【メリット】 ・材料費・施工費が比較的安価 ・厚み・密度の調整で性能設計がしやすい ・繊維系素材は吸音性もあり、遮音性に貢献 【デメリット】 ・隙間があると断熱性能が落ちやすい ・吹付断熱に比べると、気密性を高めにくい ・施工方法が悪いと、結露が発生する可能性もある |
3. 吹付断熱のメリット・デメリット
【メリット】 ・隙間を埋めるように施工するため、気密性が非常に高い ・複雑な構造にも対応しやすい ・結露リスクが軽減される 【デメリット】 ・材料費・施工費が高め ・リフォーム時に撤去しづらい ・施工には専門の技術が必要で、施工品質に差が出やすい |
4. どんな家を目指すかで断熱材の選び方が変わる
断熱材は「どんな住まいを目指すのか」によって選び方が変わります。
断熱材を選ぶ際に最も大切なのは、性能やコストの比較だけではありません。
それは「どんな暮らしをしたいのか」「どんな家を建てたいのか」という目的や価値観が、断熱材選びの最終的な判断材料になります。
たとえば、予算をできるだけ抑えて、必要最低限の断熱性能を確保したいという方であれば、充填断熱がおすすめです。
グラスウールやロックウールといった素材を用いた充填断熱は、施工も比較的容易で、コストも抑えられるため、多くの一般的な住宅で採用されています。
厚みや密度を調整することで性能調整もしやすく、断熱等級などの基準を満たすための工夫もしやすい点が魅力です。
4-1. 性能重視であれば吹付断熱
一方で、住宅性能や居住の快適性にとことんこだわりたいという方には、吹付断熱がおすすめです。
発泡ウレタンを現場で吹き付けて施工するこの断熱工法は、隙間をほとんど作らず、壁や屋根と一体化するような形で断熱層を形成します。
これにより断熱性能だけでなく、家の隙間を減らす「気密性能」も飛躍的に向上します。
気密性能が高まると、冷暖房の効率が上がり、光熱費を抑える効果も期待できます。
特に近年は、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅といった、高性能な住宅に対するニーズが増えており、そうした仕様に対応するためには吹付断熱のような高性能な断熱材が求められるケースが多くなっています。
4-2. ニーズや目的に合わせた選び方
さらに、住まいの自然素材やエコ志向にこだわりたい方は、セルロースファイバーなどの自然系の充填断熱材を検討すると良いでしょう。
断熱性に加えて調湿性もあり、結露のリスクを軽減し、室内の空気環境を快適に保ちやすいという特徴があります。
また、将来的に間取り変更などのリフォームを予定している方は、施工や撤去が比較的容易な充填断熱の方が、後々の対応がしやすいというメリットがあります。
5. まとめ
家づくりにおける断熱材の選定は、見た目には現れにくいポイントですが、住み心地・快適さ・電気代・将来的なメンテナンスに大きく影響します。
充填断熱は価格を抑えつつ標準的な性能を確保できる一方、吹付断熱はワンランク上の性能と快適性を提供します。
どちらが正解というわけではなく、「自分の暮らしに合った断熱材」を選ぶことが最も大切です。
和光地所では、みなさんの家づくりに関する価値観をヒアリングしながら、最適な設計をご提案して、納得性の高い家づくりをご提供しています。
気になった方は、断熱材など家を一から建築士と創る、安心感のある定額制住宅「Like Style」の和光地所までお気軽にご相談ください。